ソフトウェアエンジニアの市場価値または報酬傾向の変化と覚え書き
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当記事における便宜上のティア定義
2022年3月ごろのメモ書きを清書?した記事なので時空が捻れている箇所があれば目を瞑っていただきたい。今や同様の論説を他でも見かけるようになっている気がする。
この記事ではソフトウェアエンジニアの市場価値および報酬について言及する。その上でシニアとかミドルとか曖昧にやり取りされるエンジニアのレベル像を以下にざっくり整理する。
- Tier 1
- 職務経歴書やアウトプットが分かりやすく魅力的に映るクラスタ
- 就業年数や有力企業の在籍経験などを背景に特定領域における専門性や業務実績を獲得していることが多い
- 自発的な事業へのアジャストやリーダーシップの発揮も強く期待されやすい、されてしまうのだ...
- Tier 2
- Tier 1 には及ばないが(分かりやすいトロフィーがないだけの場合も含む)即戦力なクラスタ
- 技術スタックに難がなければ多くの開発現場で一定のパフォーマンスを発揮できる
- 開発チーム内の他職種はもちろん、場合によってはチーム外とのコラボレーションの遂行も期待される
- Tier 3
- わかりやすい経歴を獲得する前であり、蓋を開けてみないとわからない玉石混淆なクラスタ
- 典型的には就業年数も1〜3年におさまる程度であり、初学者や第二新卒に該当しやすい
- Tier 1〜2 では経験によって平均化されているソフトスキルの面でも個人差が大きい
主観における Tier 3 帯の底値上昇
数年前(ここを正確に定義することは難しかった)と比べると感覚的に Tier 3 のソフトウェアエンジニアの相場が底上がっているような気がしています。実数でいうと年収400万円台も少なくなかった下限が、ごっそり500万円台にシフトしてきた印象です。
都内と地方の差は依然として存在しますがコロナ禍を経てリモートワークの裾野も広がったことから地方在住のソフトウェアエンジニアが都内に近しい相場感をもった資本にアクセスする機会も増えています。少なからず地方の相場にも影響が及んでいるのではないでしょうか。
一方そこまで上がった気がしない Tier 2 の底値
先に定義した Tier 1 や Tier 2 に該当する人材は、経験にせよ実績にせよそこに至るためには時間が必要です。Tier 1 や Tier 2 の絶対数が急激に増加することはありません。
よって人数規模をつくるためには業界各位の努力によって、足りないなりに順調に増えているであろう Tier 3 の争奪戦が必要であり、その中で底値が上昇することは理解できます。ひいては最低限のハードスキルがあれば Tier 3 の買い手がつく可能性が高くなっているものと想像できます。
では Tier 1 の入り口や特に Tier 2 の相場もスライドして年換算 100 万くらい上がっているかというと、おそらくそんなことはなくて年収 700 〜 800 万の周辺に収まったままの印象です。個人の側に立てば自身の成長が年収に反映される実感はあると思うので、あくまで採用する側の感覚であることは付け加えておきます。
経産省の資料にそれっぽいデータがないか軽く探してみましたが、数年前のデータが多く直近の動向の裏付けになりそうなものを見つけられませんでした。全体的に印象論に留まる点はご容赦ください。
経歴・実績に対する評価の相対的なデフレ
持論が混ざりますが、長らく Web アプリケーションなどのソフトウェアを開発できる"だけ" でワァスゴイと重宝される時代が続いていました。遡れば、なんの役にも立つかも不明瞭な名刺代わりの Web サイト制作がウン十万で取引され続けていたわけですから然もありなんです。
ところが近年は Tier 3 を中心とした新規参入者も出来不出来はさておき、最低限のソフトウェア開発だけであればそれほど時間をかけずに到達できるようになっています。ライブラリの普及やプラッフォームサービスの発展による後押しもあるでしょう。
今や誰も手作り SPA なんて習熟する必要はないのである...
相応の学習や技術の乗換をしていれば Tier 2 ソフトウェアエンジニアの価値が直ちに崩壊する可能性は今のところなさそうですが、作れます!使えます!以外で説明可能な「自身のバリューのテーマ性とキャリア」の獲得が市場価値の持続的な向上に不可欠であることの確信が深まります。
というのは 10年越しの Web フロントエンドという職種界隈についての考 | Offers Tech Blog 等でも散々書いてきているので以下略。
バリューの説明責任
こういう話をしていると事業貢献おじさんがすっ飛んできそうなのですが、それはそれで何か勘違いしているのか、あえて短絡的にしているのかという謎議論を巷に見かけるので別の記事で持論を整理したく存じます。
いつ書くか、本当に書くかは不明である。