変化を起こせる人が行使している影響力

変化を起こす人

自分が勤めている間にかぎっては身の回りの変化を特に焦らなくても安定した生活が送れる...、などという特異な状況下を除けば、あらゆる組織、チーム、個人にとって「変化」することは前提と言ってもよい基本動作である。

変化の必要性は言うまでもなく高い

周囲の環境や状況が変化していく中で生き残るためには、自分たちも新しいかたちに変化することでしか適応できない。地球環境や地政学まで話を大きくしなくても、ユーザーの嗜好変化や新技術の勃興など多少の予測はできても基本的にはアンコトローラブルものばかりである。

文明社会の成熟に伴って組織のトップに求められる資質が変革者ではなく統治者としての側面が強くなる中で、チームや個人の側に変化の期待が寄っているという風潮(ボトムアップの重用)はあるのかもしれない。

自分を起点とした変化があるか

人材に対して期待する変化の起こりは、状況に流された結果の変化や、衆愚的な合意形成による変化ではない。他責思考や自分でケツを持とうとしない消極的態度は、努めて抑え込まなければならない。

期待されているのは、自分や自分たちを主語として意思と目的をもって変化を起こす行動だ。中身を評価するためには課題定義の精度や効果の大小も考慮しなければならないが、変化を起こせるだけでも、起こせない人材と比べれば圧倒的に価値がある。

変化の納得を広く持てるか

現実的には全員が常に変革者である必要はない。自分が変化の前面に立つこともあれば、変化を周囲から支えることもあるだろう。リーダーシップとフォロワーシップを柔軟に切り替え、あらゆる変化に対する納得を自律的に獲得できることも期待される。

そのようなスタンスで活動を通じて周囲との協力や見返りの交換を続けていると、必然的に影響力を獲得するようになる。リーダーシップとフォロワーシップの言い換えとして「変化を起こす主体性」+「納得を広く持つ柔軟性」は重用される素養のひとつだろう。

影響力の行使

変化を起こすためには周囲に影響力を発揮する必要がある。特に上手に立ち回っている人は、同じく変化を起こせる他の人と持ちつ持たれつの関係を築くことで持続的に影響力を高め続けている。

広く周りの行動を変える

変化を起こす影響力というのは、とどのつまり周りの人々の行動を変える力である。上司部下のようにわかりやすい関係性がない相手を動かす力でもある。変化を起こすためには必要があれば上司だろうと、他部門だろうと、経営だろうと、同僚だろうとアプローチしなくてはならない。

何もしなくても皆が何となく従ってくれる、付いて来てくれるというものだけではない。個別具体を持って相手の立場やコンテキストを考慮し、対応していくことが求められる。

貸し借りによって増幅する

これまで関わってきた人々や自身の体験を鑑みても、自明な話ではあるが最も単純な関係に協力の貸し借りがある。誰かが変化を起こしたいときに協力を貸し付けて、自分が変化を起こしたいときに借りを返してもらう。互いに貸し借りが滞りなく成立するようであれば信用が出来て、そういう関係が増えれば自分の影響力の総量が増える。

貸し借りというと生臭くはあるが、同じ志によって支えられた共同体だけでは外側に変化を起こすことは難しい。貸し借りや交換関係を前提に物事や人との関係性を捉えておいたほうが汎用的だろう。

特別なものではないが、意図しなければ育たない

おそらく「変化のための影響力」について、会社によってはコンピテンシーや職能の評価基準に組み込んでいることもあるだろう。個人的によく使うダイナミックケイパビリティの文脈においても変化、変革の類は常に大きい関心事である。誰かを評価したり期待したりするときにも、変化を求める姿勢や影響力につながる振る舞いはよく見てきた。

一方でこのような振る舞いを各位が実現するためには、抑圧的でなく、効力感があり、適度に余裕のある環境とマインドセットを必要とする。組織が変革を志向するためには、人材が変革を志向できるような組織に変革するという卵鶏のような話がある。

この記事に書いた内容の続きとして、硬直化の傾向があるIT系の開発組織を念頭にどのような観点を持って環境を整備していくことが、変革を志向できる人材の奮起に重要かを続く記事(他の記事を挟む可能性は非常に高い)でまとめてみたい。

※ なんだかビジネス系の自己啓発書みたいなタイトルと内容になっちゃったゾ


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ahomuAyumu Sato

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